劇場型半島

「人民の太陽、文在寅大統領」…風刺の壁新聞は罪になるのか

昨年4月に板門店で開かれた南北首脳会談で抱擁し合う韓国の文在寅大統領(右)と北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長(韓国共同写真記者団撮影)
昨年4月に板門店で開かれた南北首脳会談で抱擁し合う韓国の文在寅大統領(右)と北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長(韓国共同写真記者団撮影)

「南朝鮮の学生たちに送る書簡」と題した壁新聞が韓国の全国の大学で4月1日前後に大量に出現した。文在寅(ムン・ジェイン)大統領を「人民の太陽」と持ち上げ、北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長の指示だとしてサインまで記された。北朝鮮風の宣伝・扇動文のパロディーで、文政権の経済や対北政策をホメゴロシにした風刺だが、全国の警察が名誉毀損(きそん)容疑なども視野に実態把握に乗り出したと報じられた。本当に立件することはまさかあり得ないと思うが…。

(ソウル 桜井紀雄)

青年が永遠に休めるよう

壁新聞は3月31日ごろから全国の大学で相次ぎ見つかり、全国17の地方警察庁(警視庁や道府県警に相当)のうち15の警察庁管内で通報が寄せられた。ソウルでは、国会や最高裁判所でも発見され、壁新聞を作成したとする学生グループ「全大協」は、全国450カ所に計1万枚掲示したと主張している。

インターネット上に掲載された実物とされる壁新聞を見ると、まず「南朝鮮人民の太陽、文在寅大統領」と大書され、「南朝鮮人民を解放なさるため、天から選ばれた太陽のごとき指導者」であり、批判さえ容認できないと記されている。

文氏は経済政策で「青年らが永遠に休めるようにしてくださった」とも指摘。文氏は若者の雇用創出を優先公約に掲げながら、最低賃金の引き上げなどで逆に雇用を圧迫しているといわれる現状を皮肉ったものだ。

「革命の最大の障害である在韓米軍との3大演習を全て廃止なさった」とし、これによって北朝鮮の軍は、韓国に浸透して重要施設を掌握する準備を終えたとも記述している。

南北首脳会談や米朝首脳会談の対話を受けて米韓合同軍事演習が中止され、韓国の安全保障が脅かされているといわれることを揶揄(やゆ)している。

積弊、親日で追及しろ

「最高司令官同志」である金氏が指示した戦術として次のような記載もある。

《革命を批判するならば、無条件で自由韓国党のアルバイトと決めつけろ》

《平和、人権など美しい用語を使い、相手方を暴言、積弊、親日で追及しろ》

自由韓国党は、文氏の対北政策や経済政策を批判し、文政権と対立する保守系最大野党だ。文氏や与党が「積弊清算」と称して旧保守政権の政策をことごとく糾弾したり、保守派に「親日」のレッテルを貼ろうとしたりする動きを金氏の指示という形で風刺したのだ。