いじめや自殺など若者の悩み相談に、無料通信アプリ「LINE」などのSNSを活用する自治体が増えている。若年層の自殺やいじめ対策は喫緊の課題。ただ、対面や電話とはカウンセリング方法が異なるだけに、SNS事業者やカウンセリング団体などでつくる団体は「SNSカウンセラー」の民間資格を創設、一人でも多くの若者をサポートしようと、取り組みを進めている。
4月中旬、関西カウンセリングセンター(大阪市北区)で開かれたSNSカウンセラーの養成講座。返答は短文でタイムラグを置かない▽絵文字やスタンプは最小限に-など、受講者8人が適切な言葉選びや応答のノウハウを学んでいた。
資格は、同センターを含む各地のカウンセリング団体などでつくる「全国SNSカウンセリング協議会」(東京都)が創設。約1年前から講座や研修を開いている。実際のやりとりをもとに作られた相談例を使ったロールプレーイングも行われる。
「実は学校に行けていないんです」。この日の講座では、中学3年の男子生徒からメッセージが届いたことを想定。受講者は「いつくらいからですか」など、少しずつ質問を重ねて状況を聞き出そうとした。だが、講師の宮田智基さんは「まずは相手の気持ちをほぐすこと。質問ばかりしたり、身近な周囲への相談を勧めたりするなど現実的な対応策を急ぐと、相手は抵抗し探られている気分になる」と指摘する。
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対面や電話とは異なり、表情や相手の様子がわからない中での対応に、受講者は一様に悩んだ表情。兵庫県姫路市の女性(43)は「電話と対面でカウンセリングを行ってきたが、SNSの画面だけでは身ぶり手ぶりや声もなく、発した言葉のフォローがすぐにできない。何気ない表現が誤解につながることもあり、やりとりを進めるのも時間がかかる」と振り返った。