SNSの普及で変わる相談体制

SNSカウンセラーの養成講座で、LINEで相談に応じる様子=平成31年4月20日、大阪市北区(北野裕子撮影)
SNSカウンセラーの養成講座で、LINEで相談に応じる様子=平成31年4月20日、大阪市北区(北野裕子撮影)

 悩みを抱える人の相談窓口はこれまで、電話が主流だった。だがインターネットやSNSが普及した今、相談窓口も形を変えつつあり、専門家も「あらゆる業界がインターネットの普及に応じて変化する中、メンタルヘルス産業もより効果的な方法を考える必要がある」と指摘する。

 総務省が平成29年に行った調査では、10代の若者が平日にSNSを利用する時間は54分。一方、電話での通話は0・9分で、60倍の差が開いた。

 同年9月、LINEが自治体で初めてとなるSNS相談を長野県の中高生対象に実施したところ、寄せられた相談は2週間で547件。同県が設置する相談ダイヤルに28年度に寄せられた259件を大きく上回ったという。

 昭和46年に日本で初めての電話相談事業として設立された「いのちの電話」でも、平成29年10月から11の地域で電話だけでなく、メールでの相談も開始。日本いのちの電話連盟事務局によると、29年は1084件が寄せられ、うち約55%は10~20代だったという。

 今年3月には期間限定でチャットによる相談も受け付け、担当者は「今の若い人は日頃のコミュニケーションもテキストで行う世代。新たな相談方法を模索する必要がある」と話した。

 京都大の杉原保史教授(臨床心理学)は「若年層の死因の1位が自殺となっているのは深刻な事態。SNSがこれだけ生活に定着した今、時代に合わせた新しいサポート方法を考えなければならない」とする一方、「SNSカウンセラーの資格のように、研修や登録制度を設けてカウンセラーの質も保つ必要がある」と指摘している。

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