外国人労働者受け入れ拡大を目指す改正出入国管理法が施行されて1カ月が経過した。5年間で最大34万5000人の受け入れを目指すが、新しい「特定技能」の在留資格を取得したのはこれまでに2人のみ。技能試験を実施したのも14業種中3業種にとどまっている。最大の課題である悪質ブローカー排除の仕組みも完成しておらず、課題は今も山積している。(今村義丈)
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「レストランでのアルバイトがとてもいい経験だった。ぜひ合格して、日本で働きたい」
4月25日、初めて国内で実施された外食分野の技能試験。3月に東京都内の専門学校を卒業し、東京の会場で受験したベトナム人女性、グエン・ティ・ミー・ダイさん(27)は希望を語った。
この日は「留学生」や「日本人配偶者」など、別の在留資格で日本にいる約190人が、東京と大阪で外食業の試験を受験。アルバイトの外国人を試験会場に引率したレストラン運営会社の男性は、「衛生管理についての考え方への理解を求める内容が出題されるなど、かなりの難易度。それだけ高度な人材水準を設定しているということだと思う」と話した。
業界団体では10月までに国内外で約6000人の受験枠を設けており、「人手不足の早期解消につなげたい」(関係者)としている。だが、受け入れ対象の14業種のうち、4月中に技能試験を実施できたのは外食に加えて介護、宿泊の3業種だけだ。