朝晴れエッセー

小さな騎士(ナイト)と泣き虫母さん・4月30日

「今朝も母さんの目、一重度120%やな!」と、朝一番でもバッチリ二重まぶたの息子がケラケラと笑いながら言う。これはよくある朝の光景だ。「記録やわ、またきのうの夜もパパのことを思い出して大泣きしてん」と私。

この「パパ」とは、16年前に急逝した私の夫、息子の父のことである。息子は当時1歳8カ月であったので、一度も「パパ」と呼びかけたことはない。だからか、私たち2人の間では「パパ」と呼んでいた。

私はもともと泣き虫なのだが、夫が亡くなってからさらにひどくなり、これまで一日も欠かさず涙する毎日だった。息子には隠れて泣いていたのだが、ある日見つかってしまう。3歳の時、はっと振り返るとティッシュの箱を持つ息子が立っていた。

それから息子には「泣き虫母さん」として心配をかけてきた。大きくなるにつれ、さらに息子は私のことを精神的に支えてくれるようになる。本当に頭が上がらない。

「ちょっと、どうしようか迷っていて…」と私。「それやったら、前に進む方を選んだら?」と息子。もう、どっちが親かわからない。

そんな息子も、高校を卒業し、4月から大学生になった。ますます頼もしくなった背中がまぶしい。夫はどんな気持ちで天国から見つめているだろうか。息子はちゃんと大きくなったよ! 心配しないでね! と考えながら、また涙が止まらなくなる私であった。

本田 文子 49 兵庫県尼崎市