なぜ若者はイッキ飲みするのか

 酒の一気飲みによる若者の死亡事故が後を絶たない。平成29年12月、近畿大経済学部2年だった男子学生=当時(20)=がテニスサークルの飲み会で、多量の酒を一気飲みして死亡。学生の両親は昨年12月、飲み会に参加したほかの学生らを保護責任者遺棄致死罪で大阪府警に刑事告訴した。酒の一気飲みの危険性は誰もが分かっているにも関わらず、毎年のように飲酒事故は起きる。若者はどうして酒をイッキに飲み、ときに命を落としてしまうのか。飲酒事故問題に取り組むNPO団体に聞いた。

介抱役「はけさし」を用意

 「吐くことが前提の異常な飲み会だったのではないか」

 亡くなった学生の父親(50)は疑念を拭いきれないでいる。息子が参加した飲み会では、各参加者にポリ袋が用意されていたからだ。

 近大などによると、学生が参加したテニスサークルの飲み会は午後7時に11人でスタート。学生はウオツカをショットグラスやビールグラスで一気に飲み、開始から約1時間後には酩酊(めいてい)状態に陥った。

 しかし、介抱役のほかの学生らは救急車などを呼ぶことなく飲み会は終了。酔いつぶれた学生はほかの学生の下宿先に運ばれたが、翌日朝に容体が急変、搬送先の病院で死亡した。

 近大は聞き取り調査の結果、先輩らほかの参加者による飲酒の強要は確認できなかったとしている。ただ、このサークルの飲み会では、参加者が酔いつぶれることが常態化していたとみられる。

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