内村「自信1ミリも出てこない」 予選落ち、世界選手権は絶望的

内村「自信1ミリも出てこない」 予選落ち、世界選手権は絶望的
内村「自信1ミリも出てこない」 予選落ち、世界選手権は絶望的
その他の写真を見る (1/4枚)

 平行棒の上で後転した内村がバーに近づく。左右の上腕で落ちる体を支えようとしたが、耐えきれない。ゆっくりと床に落ち、左肩を押さえ、激痛に顔をゆがめた。「諦めることだけはしたくなかった。(周囲に)心配されるのも少しいやになっていた」。同情を忌避したのは王者の誇りだろう。感覚がなくなった腕で演技を続行し、終わってみれば80・232点の37位。まさかの予選敗退で、10月の世界選手権代表入りは、ほぼ絶望的となった。

 試合中、内村の頭を占めていたのは「練習ができていない」との思いだった。昨秋の世界選手権後、左右の肩を痛めた。つり輪は苦行となり、ミスなく6種目を通すことができず、いらだちを募らせた。先週、再び左肩を痛め、万全からは遠かった。「自信が1ミリも出てこない。『どうせできない』という駄目な選手になっていた」。この結果に悔しさすら湧いてこないという。

 2008年北京五輪から代表に入り続け、個人総合で世界選手権6連覇、五輪で2連覇を達成した。今井聖晃トレーナーによると、30歳の肩は「腱(けん)と腱板がこすれて、腱板が摩耗している」という。「炎症を取って硬くなった部分を柔らかくするしかない。航平はかつて腱が扁平(へんぺい)に潰れたことがあったけど、それが治ったことがある」と、その特異な回復力を指摘する。

 内村は試合後、穏やかな表情で、こう言った。「今は何もやりたくない。練習できる気持ちになるかどうか。今日をバネにできるかどうかすら分からない」。東京五輪代表争いという戦場に戻ってくるか。

(宝田将志)

会員限定記事会員サービス詳細