ゆったりとした投球フォームから、キレのいいボールを次々と投げ込む。巨人先発の山口は、軽快なテンポでヤクルト打線に隙を与えず、リーグトップの4勝目を挙げた。「チームが勝つのが一番なのでよかった」と満足げに汗をぬぐった。
最速150キロの直球がさえた。ストライクゾーンの四隅をめいっぱいに使い、フォークボールなど変化球も効果的に投じて凡打の山を築いた。昨年7月の中日戦以来となる自身2年連続の無安打無得点試合が頭をよぎった六回1死から、自らのグラブをはじく不運な内野安打を許したが、八回まで1安打にねじ伏せ、原監督は「全てよかった」と手放しで褒めたたえた。
不満は残った。最も警戒する相手の山田哲に対しては、コースをきわどく攻めたことで3打席連続四球。他の先発メンバーは全員抑えたが、「しっかりと投げきらないといけなかった。次への反省材料」。九回に打席が回った際は、代打が送られて101球で降板。「常に完投を目指してやっている。もちろん(九回も)いきたかった」と本音を漏らした。菅野と二枚看板をはる右腕は、求めるレベルが段違いだ。
試合前には、6セーブを挙げてきた守護神のクックが右肘に違和感を訴え、出場選手登録を外れた。不安を抱える救援陣が緊急事態に直面したが、頼もしい31歳が振り払った。(小川寛太)