天才を育てた師匠 杉本昌隆八段(2)「藤井七段、実は忘れ物多くそそっかしいです」

当時四段だった藤井聡太七段(左)と七段だった杉本昌隆八段。平成29年7月の連勝ストップ後、名古屋市の大相撲名古屋場所を観戦した(杉本昌隆八段提供)
当時四段だった藤井聡太七段(左)と七段だった杉本昌隆八段。平成29年7月の連勝ストップ後、名古屋市の大相撲名古屋場所を観戦した(杉本昌隆八段提供)

 将棋の最年少プロ、藤井聡太七段(16)の師匠、杉本昌隆八段(50)への独占インタビューの2回目は、類いまれな才能を持つまな弟子との出会いについて。天才棋士の意外な素顔がのぞきます。(聞き手・中島高幸)

 --藤井七段との出会いは

 杉本 藤井が小学1年生の終わりごろ、研修会の対局のあとの感想戦で「この場面はここに歩を打たないと、こちらに勝ちがないから」と主張しているのを見かけました。歩を打っておかないと悪いことが起きるということを話しているんです。1年生の段階では、駒をとったとかとられたとか、詰むとか詰まないとか目に見えている部分をみて判断している年頃だと思うのですが、この年ですでに目にみえていない先のことを話しているのが印象的で。なかなかセンスがあると思いました。

 --弟子にしたいと?

 杉本 この辺も微妙なところでして。私も現役で活躍したいので、弟子をたくさんとりたいわけでもない。責任が増えますし。でも藤井は非常に才能があり、間違いなくプロになれると思いました。どこの門下に行くのか興味がありました。よその一門にいくのも悔しいですし。仮に、将棋界でドラフト制度のようなものがあれば、色んな棋士が彼に声をかけるだろうなと思いました。同世代の少年たちの中でもセンスは群を抜いていました。

 --その後、藤井七段から弟子入りの申し込みがあったのですね

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