朝晴れエッセー

合格発表・4月23日

遠くに見える山並みが赤く染まり、その日もいつもの夕焼け空が広がっていた。教室のテレビをつけると、ちょうど夕方のニュースがキー局から切り替わって地域密着のニュースを伝える時間になり、県立高校で合格発表が行われたことを伝えていた。

「サクラ咲く!」「喜びの春、到来!」

そんなテロップとともに、ガッツポーズをし、友人や保護者と抱き合って喜ぶ受験生たちの笑顔が次々と映し出される。それは昼間、私が見てきた光景だ。

私塾を開いて23年。毎年この瞬間に立ち会ってきた。受験生と保護者に交じって、教え子たちの番号を確認しに行く。幸い私塾の生徒は全員、合格をつかみとることができたが、喜び合う人々をかき分けて、うつむいて、静かにそこを離れていった受験生と保護者の姿を、私は思い出していた。

彼らは今、どんな気持ちでこのニュースを見ているのだろう。このニュースが流れ始めた瞬間に、テレビの電源をプツッと切ってしまったか。合格発表で流れるのは、喜びの涙だけではない。不本意ではあるが、悲しみの涙、悔し涙を流さなければならない人もいる。どんな言葉をかけてもおそらくは何の慰めにもならないだろう。

それでも私は、15歳のたった1日や2日のテスト結果で人生は決まらない、合格した生徒も不合格になってしまった生徒も、これからの毎日をどう過ごすかが大切なのだ、と言葉をかけたい。外を見ると、街はもう暗闇に包まれていた。

黒沢 賢一 52 私塾主宰 福島県いわき市