酒呑み鉄子の世界鉄道旅

首都と古都を結ぶ快適過ぎる豪華寝台列車「グランドエクスプレス」に乗ってみた

【酒呑み鉄子の世界鉄道旅】首都と古都を結ぶ快適過ぎる豪華寝台列車「グランドエクスプレス」に乗ってみた
【酒呑み鉄子の世界鉄道旅】首都と古都を結ぶ快適過ぎる豪華寝台列車「グランドエクスプレス」に乗ってみた
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 【酒呑み鉄子の世界鉄道旅フィンランドから鉄道で国境を越えたロシア旅(3)】ロシアを代表する観光地といえば、首都モスクワと古都サンクトペテルブルク。日でいれば東京と京都のようなもので、外国人旅行者はこの2都市を訪れることが多い。

 モスクワとサンクトペテルブルクの間の交通手段は、大きく国内線の飛行機、ロシア版新幹線と言われる高速鉄道「サプサン」号、寝台列車の3つがある。ロシアの友人のおすすめは断然寝台車。私としては、ソビエト時代のノスタルジーを味わえるという、古びた「レッドアロー」号にも乗車してみたかったが、友人は快適に移動したいそうだ。寝台車なら宿泊代が1泊分節約できるという現実的な理由もあり、「グランドエクスプレス」に乗車した。

(写真・文/トラベルジャーナリスト 江藤詩文、取材協力:フィンエアー

 乗車したのは、サンクトペテルブルク発モスクワ行き「グランドエクスプレス」53号の7号車。23時05分に乗車が開始され、23時44分に出発。モスクワには朝8時半ごろ到着する。

 サンクトペテルブルクには、5つのターミナル駅がある。ロシアは、慣れるまで駅名がちょっとややこしくて、その駅から出発する列車の行き先が駅名になる。つまり私はモスクワ行きの列車に乗るので、利用するのは(サンクトペテルブルクにある)モスコーフスキー(モスクワ)駅。覚えてしまえば間違いようもなく簡単だ。

 意外とアメリカ製品が多いドリンクや、ロシア人のセンスには疑問を感じるものの日本への愛は確かに感じるソックスの自販機を横目で眺めつつホームへ進む。

 「グランドエクスプレス」にはさまざまなキャビン(客車)のカテゴリーが設定されているが、大きく分けると、相部屋になる可能性もある4人一室のエコノミー、その上の2人一室のファースト、キャビン内にシンクがあるプレミア、ホテルのスイートルームにあたるグランドの4つがある。私は、友人とふたりで1室を占有できるファーストを利用した。

 ベッド下にスーツケースを収納してひと息ついた頃、担当のクルーが熱い紅茶を持って来てくれた。実はロシア人は紅茶をよく飲む。ロシア人いわく、英国に匹敵するほどロシアは紅茶を消費する国とか。

 ニコニコと愛想のいいクルーが、お菓子と水、お茶の無料サービスを説明し、アメニティが揃っているかを確認すると、そろそろ出発だ。

 キャビンの備品についての説明や、各キャビンの紹介、ルームサービスのメニューなどは、スクリーンで一元管理されている。が、ここで飛行機とは違う鉄道ならではの問題が。そう、すべてロシア語のみなのです。まぁでも、クルーは英語を話すし、設備でわからないことは聞けばいい。ルームサービスを利用してみたかったが、「時間がかかるに違いない」という友人の忠告に従い、食堂車に行くことにした。

 食堂車には、すでに先客がいた。出発前からお酒を飲んでいるロシア人男性のふたり連れ。ひとりは日本に旅行したばかりで、日本酒の大ファンになったそうだ。ロシアのお酒をちゃっかりお相伴。

 ただし海外旅行で、見知らぬ人からモノをもらうのは勧めない。特に身体に入れるものは危険を伴う可能性があるからだ。今回は、ふたりが名刺を出したこと、食堂車のスタッフが新しいお酒を注いでくれたこと、ロシア人の女性がだいじょうぶだと言ったこと、このレポートのネタにするための理由で口にしたが、みなさまはじゅうぶんお気をつけください。

 ショパン号でもそうだったように、気の合う女性同士で寝台車に乗り、枕を抱えておやつをつまみながら夜通しガールズトークをするのは、いくつになっても楽しい。しっかり睡眠を取る予定が、結局明るくなるころに寝落ちして、朝食サービスに来たクルーに起こしてもらった。

 焼き立てのたまごにソーセージ。熱々の紅茶。朝ごはんの香りで目覚める朝は、いつだって幸福に満ちている。