浪速風

季節が移る。初節句が楽しみだ

英国に「3月の風と4月の雨が美しい5月をつくる」ということわざがある。同じ島国の日本にも当てはまりそうだ。今年は気温が低かったせいか、咲いた桜が長持ちしたが、いつの間にか新緑がまばゆい。和菓子店のショーケースに桜餅と柏餅が並んでいた。季節のバトンタッチを感じる。

▶柏の葉には殺菌作用があり、餅を包むことで乾燥を防ぎ、保存性が高まる。昔の人の知恵である。さらに柏の木は、新芽が出るまで古い葉が落ちないところから、「家系が絶えない」とされる。子孫繁栄の縁起物として、ちまきと並んで「端午(たんご)の節句」に食べられてきた。私事で恐縮だが、男の子の初孫が生まれた。

▶「笈(おい)も太刀(たち)も五月に飾れ紙幟(かみのぼり)」。松尾芭蕉が奥の細道の旅で、源義経の家臣として非業の死を遂げた佐藤継信、忠信兄弟の墓を福島の医王寺に訪ねて詠んだ。薫風が吹き渡るような句だ。久しくしまい込んでいた息子の五月人形を飾ろうかと、初節句が待ち遠しい。