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【台北=田中靖人】台湾の与党、民主進歩党で、2020年1月の総統選の候補者を選ぶ党内予備選が混迷を深めている。再選を目指す蔡英文総統(62)と頼(らい)清徳(せいとく)前行政院長(首相に相当)=(59)=の対立が深まり、党の分裂を避けたい党執行部は予備選を今月下旬から5月22日以降に先送りした。話し合いによる候補者の一本化を目指すが、頼氏は反発しており先行きは見通せない。
「非常に遺憾だ。結党以来、われわれが堅持してきた民主的な価値を否定する行為だ」
延期が決まった10日夕、頼氏は党執行部を批判した。「事前に私の意見を聞かなかった」とも指摘し、予備選を戦い抜く「決心は変わらない」と強調した。
民進党は3月末、本来4月17日の予定だった候補決定日を1週間延期しており、今回は再延期となる。さらに、立法委員(国会議員)選の候補者選定が終わる「5月22日以降」とだけ決め、政見発表会などの日程全てを先送りした。
中台関係の「現状維持」を掲げる蔡氏と異なり、頼氏は「台湾独立」を公言し党の伝統的な支持者の受けが良い。清新な印象もあって世論調査の支持率は蔡氏を上回る。ただ、現在の党執行部は頼氏が3月18日に出馬を突如、表明して以降、蔡氏への配慮と映る行動を繰り返している。蔡氏が同21~28日に外遊した際には頼氏に選挙運動の自粛を要請。両氏に近い総統府の陳菊秘書長ら5人の調整役を任命し事実上、頼氏の出馬撤回を模索してきた。