【編集者のおすすめ】『心底惚れた』樹木希林著 - 産経ニュース

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編集者のおすすめ

『心底惚れた』樹木希林著

『心底惚れた』樹木希林著
『心底惚れた』樹木希林著

 ■度肝抜かれる伝説の対談集

 「だから、最初に言ったでしょう。ぼく個人のあれだから」

 「もちろん個人の、長さんのあれを聞きたいの。その女のどういうのがよかったんですか、どの部分が」

 これは33歳の樹木希林さん(当時の芸名は悠木千帆)と44歳のいかりや長介さんの対談の中のやりとりです。男女関係の核心をつこうとする樹木さん、逃げるいかりやさん、そこを樹木さんがさらに追い込みます。

 内田裕也さんと結婚して3年目の樹木さんが、昭和51年に雑誌『婦人公論』で連載した伝説の対談が初めて書籍になりました。ゲストは先述のいかりやさんをはじめ、渥美清さん、五代目中村勘九郎さん、萩本欽一さんなど多種多彩かつ超豪華。最終回が社会主義運動の草分け、荒畑寒村さんというのも驚きです。

 樹木さんは彼ら12人に徹底して、じっくりと「男と女」の話を聞いてゆきます。「もう絶対あれ(樹木さん)とは対談するな」と言わせるほど、相手を追い詰めたこともあるそうです。

 年上の大ベテランを前にしても、物おじせず対等に話し積極的に聞き出そうとする貫禄を、33歳の若さで身に着けていた樹木さん。その言葉と語り口に、最初は度肝を抜かれるかもしれません。しかしそこには、後年の「ありのまま」の生き方に通じるものが感じられます。

 言葉のチョイスもとても粋で、樹木さんならではの表現は、各対談後の『一言』からも伝わってきます。(中央公論新社・1200円+税)

 中央公論新社ノンフィクション編集部・齊藤智子