井崎脩五郎のおもしろ競馬学

ケーシー高峰さんの言い間違い

 4月8日に肺気腫のために85歳で亡くなったケーシー高峰さんは、同業者にファンが多かった。なかでもビートたけしさんは、ファンであることを公言しており、いつだったか、お正月番組で、ケーシーさんのお色気漫談を聞きながら、「しょうがねえなあ(笑)」と肩を揺らしていたのを覚えている。

 平成になってすぐの頃だが、漫画誌の企画で、ケーシー高峰さん、競馬中継の司会者・鈴木淑子(よしこ)さんと座談会をしたことがある。そのとき伺った話は、忘れられないものばかり。戦時中、ケーシーさんの生地である東北地方で、高峰秀子さんの主演の映画「馬」のロケが行われ、馬のセリ市のシーンで見た高峰秀子さんのあまりの美しさに心を奪われ、戦後、芸人として独り立ちしたときに、芸名を高峰にしたのはそれが理由の一つなのだという(ケーシーさんの本名は門脇貞男)。

 ダービー馬の名前の話になると、わざとする言い間違いが、もう絶好調。

 シンボリルドルフのことを「シンボルルドルフ」と言うし、シリウスシンボリは「シリウスシンボル」。

 「このダイシンボルガードというダービー馬は、股間に大シンボルをぶらさげていたわけですか」

 ダービー馬一覧表のなかに、昭和13年・スゲヌマという名前を見つけると、「いい名前ですねえ。スゲーヌマとは。何かが出てきそうですね」。

 いえ、それは、スゲーヌマではなくてスゲヌマですと言っても、話はエスカレートするばかり。

 「昭和10年のダービーは、ガブ・アナなんていう馬が勝ってるんですね」

 それは、ガヴアナーです。小文字を使った表記ならガヴァナーですね。

 「風邪によっては、妙に勃起する風邪があって、われわれはそれを、勃(た)ち風邪と呼んでるんですけど、タチカゼという馬が昭和24年のダービーを勝ってるんですねえ。えらいもんですねえ」

 座談会の部屋にコーヒーを運んできたウエートレスさんが噴き出したのを覚えている。(競馬コラムニスト)

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