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中国からの観光客激減で韓国経済が大打撃 終わらない「THAAD」報復

 韓国政府が昨年発表した訪韓外国人観光客1人当たりの支出経費は、平均1482ドル(約16万3000円)。中国、ロシアなどの観光客が平均1700~2232ドルを使う太っ腹だったのに対し、韓国訪問が増えたタイやマレーシア、フィリピンなど東南アジアの観光客は同1100ドルに満たない。東南アジアからの観光客が増えたものの、「(中国人観光客の)買い物額は比較できないほどなので大して役に立たない」と店主らは一様に厳しい見方を示す。消えた爆買いの穴は埋まらない。

 ■企業活動に悪影響

 さらに深刻なのは、中国で韓国の存在感が薄れ始めていることだ。韓流の制限で、魅力を高めるのに一役買った韓国ドラマは中国のテレビから姿を消し、韓国の有名芸能人が出演する商業広告もなくなった。韓国ポップスターの公演も中断されたままだ。

 韓流コンテンツが遠のいた影響もあって、ハード面も苦戦する。韓国・現代(ヒュンダイ)自動車の中国拠点、北京現代の売り上げはこの2年間で半減した。THAAD配備場所を提供した韓国ロッテは、中国・瀋陽で計画したテーマパーク構想が当局により工事中断を余儀なくされた。進出した小売り店舗も営業停止処分を受けた。中国から全面撤収せざるを得ない状況に追い込まれている。中韓首脳で合意した経済関係正常化は全く履行されていない。中国人の韓国への意識は低下するばかりだ。

 中央日報(同)は、観光業界では、中国が米国と貿易戦争を行っているだけにTHAAD報復解除のような懸案の解決は後回しにされるという懸念が大きくなっている、と報じる。報復の悪夢は当面続くようだ。

(経済本部 佐藤克史)