朝晴れエッセー

孫からの手紙・4月9日

今年もまた東京の長男一家から宅配便が届いた。私の誕生日を祝うプレゼントだが長男も同じ誕生日とあって、パスされたことは一度もないうれしい定期便だ。

開けると私の好物を集めた甘い菓子類がぎっしり、そして最近文字を覚えたばかりという5歳の孫娘の手紙が添えられている。たどたどしい字で紙面いっぱいに「おじいちゃんわたしをねらわないでね」とだけ書かれていた。届いたのが節分の直後だったから鬼ごっこのことかな、とその意味を深く考えなかった。

ところが数日後、呵々大笑(かかたいしょう)する妻と嫁の電話から驚きの真相を知る。それは帰省の折、食事の際に孫のしぐさをじっと見つめる私の目が怖い、どこかへ連れ去られそうだという恐怖心がこのような文面になったという。なんと5歳児が拉致・誘拐の恐怖を祖父に抱いていたのだ。年に1度か2度の帰省、しかることはもちろん大声あげることもないこの私に。

確かに現役時代は警察という仕事柄、同僚や部下から私の目つきや物言いが怖いと陰口をたたかれ、2人の子供からも恐れられた存在だった。しかしそれも昔の話。隠居して20年近い時の流れがすっかり好々爺(こうこうや)に変身させたと自負していただけに、ショックだった。

そして今年は新たに10連休が加わって帰省の機会が増える。どんな顔で孫を迎えたらいいのか、いっそのことこの身を隠そうか等々思案に沈んでいる。

小出 満 77 徳島県阿南市