令和、広がる五輪パラ教育 東京都の「学習読本」をIOC評価 - 産経ニュース

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令和、広がる五輪パラ教育 東京都の「学習読本」をIOC評価

五輪パラ教育で使われる教材
五輪パラ教育で使われる教材

 全国各地の学校で8日、入学式や始業式が行われ、「令和元年」(5月1日から)の新学期がスタートした。東京五輪・パラリンピックを控え、今年度は五輪パラを題材にした学校教育が拡充される。都や組織委員会が教材を制作し、授業も多岐にわたるのが特徴。ボランティア精神や障害者との共生社会のあり方も学び、地域の大人たちへの波及効果も期待されている。「きめ細やかさ」は国際オリンピック委員会(IOC)も評価しており、日本の教育モデルが各国に広がる可能性もある。(佐々木正明、吉沢智美)

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 開催決定後、都は五輪精神を通じて子供たちの心や身体を成長させる「重要な機会」ととらえ、「オリンピック・パラリンピック教育」戦略を計画。具体策を年々深化させてきた。

 小中高別に五輪パラの歴史やIOCが取り組む世界平和や環境保護対策などについて、写真やデータでまとめた「学習読本」を制作。各校に年間35時間以上の授業を組むよう呼びかけており、読本を基に小6社会では世界のマナーを学ばせたり、中3、高1の理科では、競技の道具に使われる日本の技術の結集を紹介する実践実例集も作った。

 国語、英語など主要5教科のほか音楽、美術、道徳など教科も多岐にわたり、都教委の担当者が次回開催国のフランス教育担当者と協議した際、その質の高さや創意工夫ぶりに驚かれたという。IOCもこれまでにない取り組みとして、高い評価を与えており、IOCの推奨で日本の教育モデルがレガシー(遺産)として各国に取り入られることも期待されている。

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 ボランティア精神を醸成する多摩市立豊ケ丘小の地域清掃の授業や、車いす利用の高齢者を招待してパラ競技のボッチャを体験した東大和市立第六小の授業は近隣地域を巻き込んで実施されており、都教委は「子供たちが変わることによって大人が変わる」とその波及効果の狙いを指摘する。

 一方、大会組織委員会は小6向けの「東京2020算数ドリル」を制作。五輪パラの55競技を取り入れた問題で構成され、選手が解答のヒントを与える。

 組織委は「算数が苦手な子が多いのでスポーツと一緒に楽しみながらやってもらえれば」としており、今年度から全国で本格導入される。全公立小でドリルを活用する鹿児島県指宿市の担当者は「学校側からぜひ使いたいという要望があった。五輪への関心も高まれば」と話している。

 さらに、組織委は今年度、運動会や体育祭で五輪パラに関連した、独創性にあふれた行事を行った学校を表彰する制度を実施。優秀校には副賞として特製リレーバトンが贈られる。

教科書にも多数

 各出版社も五輪パラの理念に沿った各科目の教材を用意している。文科省の検定に合格した、来春以降の小学校用教科書では10教科39点で五輪パラが取り上げられている。

 競泳の池江璃花子選手は国語、道徳、英語の3科目4点に登場。2月の白血病の公表前に作成が終わっており、病状については触れていない。光村図書の国語の書写(6年)では「自分だけの一文字」として、池江選手が書いた「希」の文字が掲載されている。

 啓林館の算数(6年)では、大会エンブレムを制作した野老朝雄(ところ・あさお)さんのインタビューを掲載。野老さんは定規やコンパスを使って描く図形を組み合わせた芸術作品を生み出しており、担当者は「世の中で算数が役に立っていることを表したかった」としている。

 大日本図書の保健(5、6年)には五輪のたばこ対策の解説も盛り込んでおり、各社とも多様性に富んだ教材を用意している。

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