学芸員ミュージアム談義

茨城県立歴史館「花ざかり-描かれた春夏秋冬-」

林十江「桜花図屏風(花鳥図)」(県立歴史館蔵)
林十江「桜花図屏風(花鳥図)」(県立歴史館蔵)

 ■四季折々のお花見を

 春です。あちらこちらでさまざまな花が咲き誇っています。お花見に行かれたかたも多いのではないでしょうか。

 お花見といえば桜ですが、新しい元号「令和」の出典とされている『万葉集』では、「花」といえば梅を指していました。『万葉集』で梅を詠んだ歌は約120首も載せられています。それが徐々に時代を経ると「花」=桜、となっていきます。『古今和歌集』では、「花」といえば桜を指すようになっていて、桜を詠んだ歌が70首以上あり、約20首の梅を上回ります。

 以来、日本では「花」というと桜を指すようになりました。そして、その後も人々の愛でる花は広がっていきます。大陸からさまざまな花が輸入されたり、品種改良が行われたり、花の種類も増えていきます。鎌倉時代には豪華で大きなボタンやシャクヤクが好まれ、江戸時代には園芸文化が広がり、さまざまな変わった形の朝顔が登場しました。

 茨城県立歴史館で今月20日(土)から開催される「テーマ展I茨城県立歴史館名品展 花ざかり-描かれた春夏秋冬-」では、四季折々の花をテーマに、さまざまな作品に描かれた「花」をご紹介します。春はボタンや桜、夏はシャクヤクや朝顔、秋は菊、そして冬からまた次の春にかけて芽吹き花咲く梅などなど…。また、花にまつわる豆知識なども併せて展示いたします。桜の花見はもう終わりですが、今度は当館で四季折々のお花見をしてみませんか?(県立歴史館学芸員 武子(たけし)裕美)

 ■メモ 「花ざかり-描かれた春夏秋冬-」は水戸市緑町の県立歴史館で20日から6月9日まで開催。月曜休館(祝日の場合はその翌日)。ただし4月30日は開館、5月8日は休館。

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