製造業の現場や介護、農林水産のような第1次産業はもはや外国人労働者抜きには語れず、24時間営業のコンビニエンスストアでも外国人店員と応対するのはごく普通のことになりました。そういう外国の人たちが、安心して日本で働き、来てよかったと思ってもらえるような受け入れの制度的枠組みもまだ不十分です。何か新しい政策へと転換するとき、いきなり百点満点の対応ができないのは仕方ありませんが、来てくれる外国人と、受け入れる日本人との間での交流も含めて、議論が十分に尽くされないまま、とりあえず目先の店員や工員が安く雇えればいいやという状態からいかに早く脱却するのか。日本人、日本社会の将来の形をいま一度、遠くまで見直す必要があると感じます。
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【プロフィル】山本一郎
やまもと・いちろう 昭和48年、東京都出身。慶応大卒。専門は投資システム構築や社会調査。情報法制研究所上席研究員。