松本真由美の環境・エネルギーDiary

最新鋭「LNGコンバインドサイクル発電」を見学した

 東日本大震災後、原子力発電所の再稼働がストップし、火力がフル稼働して代替してきました。しかし、ここにきて状況が変わってきています。太陽光発電の導入が急拡大し、火力の出力を制御することが増えており、効率を下げてでも需給調整に対応するケースが増えています。

 九州本土の太陽光発電の接続量は、2012年7月の固定価格買取制度(FIT)導入後に急増し、昨年11月末時点で826万キロワットと制度スタート当初に比べて約7倍に増加しています。

 天候や時間によって発電量が大きく変動する太陽光、風力発電の増加に伴い、電力システム全体の需給調整に問題が生じています。電力の需要と供給のバランスが崩れると周波数が変動し、最悪の場合、稼働している多数の発電機が設備損壊を回避するため自動的に停止し、大規模停電に至るおそれもあります。電力会社の中央給電指令所では、周波数を常に一定に保つためモニターで監視し、火力などの発電量を調整し、需給バランスをとっています。

 再生可能エネルギーを大量導入しようとすると、需給調整機能の強化が不可欠です。コンバインドサイクル発電は、運転と停止を短時間で容易に行え、需要の変化に対応した運転に優位性があります。一方、欧州では頻繁な起動・停止や過酷な太陽光の出力変化により、火力プラントの疲労劣化が進行し、修繕費や燃料費のほか、プラント改造費や技術開発費が増加しています。日本でも喫緊の課題です。

 ■ガスの高効率化技術開発は日本がリード

 温暖化対策の観点から、火力の高効率化に向けた技術開発は重要です。コンバインドサイクル発電の効率向上には、ガスタービン入口のガス温度を上昇させることが有効で、日本は大型ガスタービンの高温化で世界の先端を走っています。

 日本は、1600度級ガスタービンで世界最高の熱効率55%を達成し、現在は1700度級ガスタービンでさらなる熱効率向上に向け技術開発を進めています。最新のコンバインドサイクル発電では、熱効率が60%近くまで向上し、従来設備と比べ4割以上も燃料費とCO2排出量が低減しています。

 コンバインドサイクル発電には、環境対策への貢献が期待されています。

 まつもと・まゆみ 東京大学教養学部客員准教授(環境エネルギー科学特別部門)。上智大学在学中からテレビ朝日のニュース番組に出演。NHK-BS1ワールドニュースキャスターなどを務める。環境コミュニケーション、環境とエネルギーの視点から持続可能な社会のあり方を研究する傍ら、シンポジウムのコーディネーターや講演、執筆活動などを行っている。NPO法人国際環境経済研究所(IEEI)理事。 

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