朝晴れエッセー

中学受験・4月6日

息子が中学受験の準備をし始めたのは約2年半前。周囲の勧めに中学受験がどういうものかも理解しきれていない息子は「やってみる」と言い、塾通いが始まった。その頃から私と息子のケンカが増えた。

小学生の間はのびのびさせてあげたい、と中学受験に反対であった私だが、その世界を知るにつれどちらが良いのか分からなくなっていった。いつの間にか「勉強しなさい」と言ってしまっている私に息子は反発した。優しかった息子が勉強を求められるストレスからか他人の気持ちを考えられない子になってしまっている、と自分の息子への態度を省みることなく中学受験のシステムを恨んだりした。

受験は滑り止めなしの本命1本、息子がそう決めた。午前と午後の2回試験を受けた。私も付き添い、待合室で待機した。

息子に会ったのは日もすっかり暮れた18時半頃。「お疲れさま」と声をかけた。出来栄えが気になるところだったが、今までで一番緊張したであろう子に聞くことはできなかった。「帰ろうっか!」と言うと息子が口を開いた。「お母さん、一日付き添いありがとう。たぶん僕より緊張して待っててくれてたんやろうなあって…」

涙があふれた。緊張に包まれた日を戦って疲れているはずの12歳の子の言葉にこれまでの迷いやつらかったことが一気に吹っ切れた。息子はちゃんと成長していた。

4月、息子はあこがれの制服に身を包み、新たな目標に挑んでいく。

小栗 圭子 42 大阪府和泉市