【ソウル=桜井紀雄】「徴用工」などとして戦時下の日本で強制的に働かされたと主張する韓国人4人と遺族27人の計31人が4日、日本コークス工業(旧三井鉱山)など日本企業4社を相手に損害賠償を求める訴訟をソウル中央地裁に起こした。韓国最高裁が日本企業への賠償命令を確定させた昨年10月の判決後、いわゆる徴用工訴訟での集団提訴は初めて。
原告の弁護団は今年1月以降、200人以上から訴訟に関する相談が寄せられたとし、準備が整い次第、追加の提訴を進めると説明している。集団訴訟を支援する別の団体も既に239件の申請を受け付けたとしており、追加提訴はさらに膨らむ見通しだ。
最高裁判決以後、下級審での原告勝訴が続いており、追加訴訟でも日本企業敗訴の公算が大きい。悪化した日韓関係へのさらなる影響も避けられない。
地裁前で4日に記者会見した弁護団や支援団体によると、4日の提訴は、日本製鉄(新日鉄住金から改称)や三菱重工業、不二越の各社を被告とした8件。元徴用工ら当事者1人当たりの請求額を約1億ウォン(約980万円)と見積もっている。三菱マテリアルなど新たな企業を相手取った訴訟も検討しているという。韓国では他に少なくとも12件の同種訴訟が係争中だ。
八幡製鉄所(北九州)で働かされたとする原告男性(89)は記者会見で「日本からの謝罪がなければ、韓日関係の正常化もない」と訴えた。