朝晴れエッセー

父とミーコ・4月4日

父の誕生日の朝、おめでとうのメールを送った。返ってきたメール。

「ミーコ、夜中3時頃から帰って来ないんや」

ミーコとは、父が定年した頃から実家にいる三毛猫。22歳、老猫である。

決してかわいいとはいえないブサイクな顔をしていたミーコ。人なつっこく、ご近所さんにも愛されていたミーコ。父のことが大好きで、定位置は父のひざの上。夜は父の腕枕で寝るという、相思相愛の2人だった。

「お父さんとミーコ、どっちが先にあの世に行くかな」

「一緒じゃないとかわいそうやな」

そんな会話を母とよくしたものだ。

最近はボケてきたのか、ときどき大声で鳴くことが多くなった。それも父の姿が見えなくなると、マックスになる。

「トイレも風呂も、ゆっくり入ってられへんわ」

と、ぼやいている父は、うれしそうに見えたりもした。

猫は死期が近づくと、姿を消してしまうという、言い伝えが頭をよぎった。前日は珍しく、体調が優れなかったらしい。

ミーコ。お父さんは、ゆっくりお風呂に入れるようになったよ。でもね、湯冷めしやすいんだって。寝るときも寒いんだって。ミーコがいないから。

83歳の父の誕生日は、忘れられない日になった。

平本 幸代 51 大阪市鶴見区