JAXA業務の31歳男性が過労死 労基署が労災認定

 宇宙航空研究開発機構(JAXA)の筑波宇宙センター(茨城県つくば市)で人工衛星の管制業務に従事していた男性=当時(31)=が長時間労働や上司のパワハラなどに悩み精神障害を発して自殺したことに対し、土浦労働基準監督署(茨城)が労災認定していたことが3日、分かった。認定は2日付。

 会見した遺族側弁護士によると、男性は佐藤幸信(ゆきのぶ)さん。平成22年4月、システム開発会社エスシーシー(東京都中野区)に就職し、ソフト開発の業務などに従事した。27年10月、グループ会社の宇宙技術開発株式会社に出向。筑波宇宙センター内で、温室効果ガス観測衛星「いぶき」の管制業務に携わった。

 佐藤さんは27年6~7月、いぶきのプロジェクトの納期が迫り、残業時間が増加し、休日返上で仕事に追われた。28年2月ごろから、残業申請をするごとに上司から叱責されたため、サービス残業を余儀なくされた。夕方5時から朝9時まで16時間の深夜労働も常態化し、同年10月、自宅で自殺。遺族が29年6月、労災申請していた。

 労基署は、人工衛星の管制業務とソフト開発で、「達成困難なノルマが課せられた」と認定し、上司との「トラブル」も認めた。

 母親の久恵さん(60)は「家族にとって幸信は宝物であり、かけがえのない息子でした。仕事のために命を失うなど決してあってはなりません」と話した。

 エスシーシーは「厳粛に受け止めており、再発防止に努める」とコメントした。

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