主張

新元号に「令和」 花咲かす日本を目指そう 万葉集からの採用を歓迎する

 元号を建てることは、国の独立の象徴でもあった。中国の歴代王朝は、傘下の国に中国の元号の使用を強いていた。日本の元号の歴史は、天皇を戴(いただ)く日本の国が、途切れることなく独立を保ち続けたことを示している。

 明治からは「一世一元」の制に基づき、天皇お一方に一つの元号が用いられるようになった。将来は、天皇のおくり名(追号)にも用いられる。

 元号法の規定に基づき、内閣が政令で決める現代でも、御代替わりに限って改まる元号は、本質的に「天皇の元号」である。

 天皇と国民が相携えて歴史を紡いできたのが日本である。だからこそ憲法は、第1条で天皇を「日本国民統合の象徴」と位置付けている。国民が一体感を持つための元号であり、憲法の精神に沿った存在といえる。

 国民は、元号によって、時代や国民的体験を振り返ることができる。「明治維新」や「文永の役、弘安の役」「天保の改革」「昭和の大戦」などだ。

 元号と西暦の換算をしなければならないとして、利便性の観点だけを尺度に西暦への一本化を求めることは、豊かな日本の歴史や文化をかえりみない浅見だろう。

 ≪将来は「詔書」で公布を≫

 漢籍は今回、元号の典拠とならなかったが中国のみならず東洋、ひいては世界の文化財だ。国書と並ぶ日本文化の礎であり、どちらがどうという関係にはない。

 御代替わりよりも先に新元号が公表されたのは初めてだ。コンピューター化が進んだ今、円滑な国民生活のための措置といえる。

 ただし正式な手続きは、新天皇の下でとるべきだった。政府が新元号を内定の形で発表し、改元の政令には、これからの時代を担われる新しい天皇が署名、押印されるのが自然である。

 将来は制度を改め、閣議決定した元号を新天皇が詔書で公布されるようにしてもらいたい。

 新元号は天皇陛下と皇太子殿下に報告された。「令和」とともに新しい時代を歩まれる皇太子殿下は、にこやかにお聞きになったという。

 残る平成の日々は1カ月を切った。譲位に万全を期し、新しい「令和」の時代に臨みたい。

会員限定記事会員サービス詳細