朝晴れエッセー

フルーツ牛乳・4月2日

50年ほど前の結婚式の朝、玄関に取り付けた木の牛乳箱の中に、いつもの牛乳の他にフルーツ牛乳が1本余分に入っていた。

「結婚式、いい天気でよかったな。広ちゃんは賢いから、いい嫁さんになるわ。これ飲んでな」と書かれた、包装紙をちぎったようなメモがつけてある。差出人は書かれていないがKちゃんだとわかる。

Kちゃんは毎朝、牛乳を配達してくれる幼なじみ、軽い障害があり左半身に力がなく、いつも足を引きずって歩く。いじめられっ子で、小学生のときに投げ飛ばされて頭を強く打ったらしい。そのとき運ばれた病院で、検査の結果、モヤモヤ病という難病であることがわかったという。

高校には進学せず、ずっと牛乳配達をしていた。高校の制服を着た私と道で出会うと大きな声で「カッコいいやん、よく似合ってるで」と冷やかした。遠くからでも、手をふって笑いかけてきた。友達と一緒のときでもその調子なので横をむいて無視したこともあった。