浪速風

花咲く国に生まれた幸せ

東京の桜は見頃だそうだが、大阪の弊社周辺ではまだちらほら。通勤電車の車窓から目で探っても花の気配は薄い。けれども週末になると、どこか見に行ける木はないのかな、などと気になる。日本人なのだから、こればかりは仕方がない。

▶もっとも最近は遠出をすることが少なくなった。昔はまだ暗いうちに起きてでも、心を躍らせて遠くまで出かけたものだが。あちこちの名木を見てきた。だが年を重ねるにつれて、近くの道端や山あいの、ありふれた桜をしみじみとありがたく感じるようになった。名のない桜ではあるだろう。けれども冬の寒さを経てだれの身にも等しく花の光を降らせてくれる。

▶「花の雲あれが大和の小口哉(かな)」(一茶)。そう、この国にはどこにでも桜咲く幸せが満ちている。苦労や別れを経たかもしれないだれの上にも、花は咲いてくれる。一茶の次の句で「春」は正月初春のようだが、あえて。「目出度(めでた)さもちう位也(なり)おらが春」