新元号の公表を前に、企業の間で改元時に起こりかねないトラブルを見据えた動きが広がっている。日付のデータとして和暦を使っている場合、新元号での日付が認識されないといった問題が起こり得るためだ。このため銀行業界ではシステム改修などの対応が急がれているほか、業務上の負担が大きくなる新システム稼働を延期するなどの動きが相次ぐ。鉄道業界では和暦から西暦への切り替えも進む。ただ、対応に未着手の企業も2割に上っており、政府は今後、情報提供を強化するとともに早期の対応を呼びかける。
企業が取り扱う情報システムや書類などには、日付データに元号が含まれるものが少なくない。改元後、新元号に対応したプログラムに更新しなければ、新元号を入力した際に正しいデータとして認識されないケースがある。また、電子メールの予約送信などのように日時を指定して作動するよう設定したプログラムが正常に動かないケースも想定される。
銀行業界は預貯金の通帳などで和暦表記が主流となっており、混乱の要因となるおそれがある。改元に際して事務とシステム両面での対応を行う必要があるうえ、10連休中の取引データ処理が連休明けに大量発生し、さらに負荷が高まる可能性も否定できない。
こうした中、銀行業界では新しいシステムの稼働時期を遅らせるなどの動きが出ている。九州フィナンシャルグループ(FG)傘下の肥後銀行は改元や10連休を踏まえ、新しい基幹系システムの稼働を当初予定の5月から7月に延期した。みずほFGも傘下銀行の入出金や口座管理などを担う「勘定系システム」の次期型への移行時期を7月に設定。ふくおかFG傘下の親和銀行と十八銀行は、合併時期を当初予定の平成32年4月から半年延期した。