2020年東京五輪・パラリンピックを前に浦安市郷土博物館(同市猫実)は漁師町、浦安を体感できる屋外展示場を案内する際、参考となる英語文例集を発行した。市民が文案を作成しており、浦安の魅力を世界に向けて発信する活動につながりそうだ。(塩塚保)
■市民が文案
屋外展示場は漁師町として活気あふれていた昭和27年ごろの浦安の町並みを再現している。船宿や漁師の家、三軒長屋、鮮魚店などが立ち並ぶ。作家、山本周五郎が浦安をモデルにして執筆した「青べか物語」に登場する料理店「天鉄」も再現され、人気が高い。水面には漁業に使われた小舟が浮かぶ。春の休日に外国人の親子が独楽(こま)回しに興じていた。
浦安市国際交流協会の白木聖代(まさよ)会長は「外国人を連れてくると、とても喜びます。昔の日本人の暮らしや漁師の宗教観などに強い関心を示す。海外から来た女子大生は浴衣を試着して、輪投げを楽しんでいました」と笑顔で話す。
博物館は平成25年度、展示解説(英語)ボランティア養成講座を開催した。多くの市民が受講したが、参加者が「だれもが英語で案内できるように文例集があるといいのでは」と提案。実践的で分かりやすい文例集作成に向け、勉強会を継続し、2年の歳月をかけて文案を練った。
文例集に関わった白木さんは「船宿や長屋を英語でどう表現すればいいのか。海外赴任経験のある企業戦士らが熱く議論しながら、一文ずつ時間をかけて作っていった」と振り返る。
■音声CDも
また、浦安在住の米国人女性、ダイアン三浦さんを屋外展示場に案内して文案の監修を依頼。外国人に理解しやすく修正した。音声CDもセットにして500部作り、一部を市内の中学校、高校などに配布した。
担当学芸員の林奈都子さんは「音声CDを付けたので、中高生も学びやすいと思います。東京五輪などの機会に浦安を訪れる外国人が増える。幅広い世代の市民が英語で案内して浦安の魅力を世界に発信していければ」と話している。
1冊千円。問い合わせは浦安市郷土博物館(047・305・4300)。