オートファジーの仕組み「6割分かった」

オートファジーの新たな研究成果を発表する大隅良典東京工業大栄誉教授(伊藤壽一郎撮影)
オートファジーの新たな研究成果を発表する大隅良典東京工業大栄誉教授(伊藤壽一郎撮影)

 生物の細胞内で不要物を膜で包み分解する「オートファジー(自食作用)」の過程で、謎となっていた膜を作る材料が集まる機構を解明したと、東京工業大の大隅良典栄誉教授や微生物化学研究所のチームが26日、英専門誌で発表した。特殊なタンパク質が細胞の小器官から脂質を引き抜き供給していたという。

 オートファジーの基本的な仕組みを解明し、平成28年にノーベル医学・生理学賞を受賞した大隅氏は東京都内で会見し「完全な機構解明に間違いなく一歩近づいた。これまでは3割程度だったが、6割ぐらいは分かったと思う」と話した。

 人間を含め細胞に核がある動植物に共通するオートファジーは、細胞内の浄化や栄養供給などを担う生命活動に欠かせない現象だ。まず脂質からなる微細な膜が出現して曲面状に成長。侵入した細菌や不要なタンパク質を袋のように包み込み、分解酵素などで再利用可能な物質に分解する。

 研究チームは、オートファジーに関係することが判明している特殊なタンパク質に着目。構造や働きを詳しく調べ、タンパク質の合成や輸送を行う小胞体という器官の表面から脂質を引き抜いて、膜まで運ぶ機能があることを突き止めた。

 大隅氏は、昭和63年に世界で初めて酵母のオートファジーの観察に成功したことを振り返り「タンパク質の構造解析技術が進み多様な機能が分かってきた。ここまで来るには30年ぐらいの年月が必要だったのだろう」と感慨深げに語った。

 近年の研究でオートファジーは神経疾患やがん、感染症を抑制する機能を担っていることが判明。仕組みの完全な理解が急務となっている。今後は脂質がつながって曲面の膜を作る機構や、袋状に閉じる仕組みの解明が課題で、今回の成果が役立つとみられている。

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