世界各地の紛争や飢餓、災害などの現場を歩くフォトジャーナリストが、自らの仕事を振り返りながら、現代社会の課題について考察する。アジア、アフリカ、そして福島…。人々が苦難に見舞われている場所に足を運ぶが、そこには越えられない境界がある。写真家にできるのは、目撃者としてシャッターを切ることだけ。無力感や葛藤も率直につづる。
写真を撮るのは見つめること。でも同時に被写体にも見つめ返される。〈お前は何者なんだ、と厳しく問いつめる眼(め)に自分を開いておく〉。各章に数枚ずつ挿入される写真が、重みを持って迫ってくる。(新泉社・2000円+税)