テロ動画、監視に限界 NZ乱射、拡散後絶たず

ただ、今回の犯行動画は全世界で膨大な利用者がいる米交流サイトのフェイスブック(FB)上にアップされた後、ユーチューブやツイッターを介して繰り返し転載されており、監視の目が追いつかない速さで拡散した。犯人側が注目を集めるため、事前にネットの匿名掲示板で事件予告をしていたことも、拡散に拍車をかけたとみられる。

「ダムの穴をふさぐ多数の指の隙間から水が漏れ出すようなもの」。FBの元セキュリティー責任者、アレックス・スタモス氏は今回の事件後、ツイッターにこう書き込み、対策には限度があることを示唆した。

■日本では接続業者が個別に削除

ネット上の違法・有害な投稿について、国内では、総務省の呼びかけで業界団体が作成した「契約約款モデル条項」に基づき各事業者が個別に削除ルールを定め、運用している。

銃乱射事件の動画は、モデル条項が禁じる「社会通念上、嫌悪感を不特定多数に与える内容」や「公序良俗に違反する内容」に当たる可能性がある。モデル条項では、禁止対象の投稿についてはプロバイダー(接続業者)が契約者に削除を求めたり、自ら削除したりすることができるとしている。

復讐(ふくしゅう)目的で性的画像や動画を投稿するリベンジポルノは、防止法がネット掲載や拡散目的での提供に刑事罰を規定。被害申告があった場合、投稿者に照会してから2日経過しても反論がなければ、プロバイダーが削除することができる。

ただ、政府に批判的な内容を含むサイトに接続できない仕組みとなっている中国のように、国が直接、接続遮断や削除を行う仕組みはない。憲法が保障する「表現の自由」などに抵触する恐れがあるためだ。

総務省の担当者は、銃乱射事件のような動画は「ネットにアップすること自体が法律違反ではなく、抑止は難しい」としている。削除するか否かの判断はあくまでプロバイダーなどに委ねられているのが現状だ。

会員限定記事会員サービス詳細