テロ動画、監視に限界 NZ乱射、拡散後絶たず

ニュージーランドで15日に起きた銃乱射事件では、実行犯がインターネット上に犯行を「生中継」した動画をアップし、会員制交流サイト(SNS)などで拡散された。テロ行為をSNSで投稿するケースは過去にもあり、類似犯を生み出すきっかけになる恐れもある。国際社会やIT大手は対策を強化しているが、限界があるのが実情だ。(福田涼太郎)

■今も閲覧可能に

著名な匿名掲示板サイト内にある、今回の事件に関するスレッド(話題のテーマ)。「動画 消されてたらすまん」との書き込みとともに、別サイトに誘導するリンクが張られていた。

クリックすると、どくろがあしらわれた不気味な海外の動画サイトに飛び、今回の乱射事件の一部始終が収められた約17分間に及ぶ動画を誰でも閲覧できる状態になっていた。「trigger warning(閲覧注意)」と警告が添えられているが、抑止効果はないに等しい。

2015(平成27)年、イスラム教スンニ派過激組織「イスラム国」(IS)に日本人などが相次いで殺害された事件では、残酷な殺害の様子がユーチューブ上にアップされ、世界を震撼(しんかん)させた。ISはネットを駆使した情報発信にたけており、触発された「ローンウルフ(一匹オオカミ)」型のテロ事件も多発した。

■官民で対策も…

こうしたケースを受け、国際社会はIT事業者に対策を促している。欧州連合(EU)の執行機関である欧州委員会は昨年9月、テロ行為をあおるような内容の動画などに関し、各国当局の要請から1時間以内に削除するよう企業側に求める新規制を提案。違反した場合、年間売り上げの最大4%を制裁金として科す厳しい内容だ。

事業者側も対応に追われている。ユーチューブを傘下に持つ米IT大手のグーグルなどは、人工知能(AI)を活用した扇情的・暴力的な内容の不適切動画を自動削除できるシステムを導入。画像や言語など判断材料となるさまざまなパターンをAIに学ばせ、精度を上げているという。