国土交通省が19日公表した公示地価(1月1日現在)で、県内の地価は27年連続で下落したが、下落幅は7年連続で縮小した。住宅地、商業地で下落したが、工業地は27年ぶりに上昇に転じ、全用途の下落幅は0・6%で前年比0・1ポイント縮小した。市町別では、住宅地、商業地ともに宇都宮市と小山市が上昇した。
公示地価は土地取引の目安となる価格。県内は住宅地346、商業地95、工業地20の計461地点で継続調査した。このうち、住宅地55、商業地29、工業地9の計93地点が上昇。上昇地点は前年より22地点増えた。横ばいは住宅地48、商業地15、工業地7の計70地点で同3地点減。下落は住宅地243、商業地51、工業地4の計298地点で同24地点減となった。下落幅は住宅地0・7%(前年比0・1ポイント縮小)、商業地0・5%(同0・1ポイント縮小)。工業地の上昇幅は0・2%(同0・4ポイント拡大)。
住宅地は、宇都宮、小山両市が2年連続で上昇し、上昇幅はいずれも0・3%だった。ほかは下落。茂木町3・0%、矢板市2・7%などが下落幅が大きい。
県地域振興課は「宇都宮市と、それ以南のJR東北線沿いの利便性、居住環境良好な住宅地を中心に需要が堅調で、地価の上昇する地点が増えている」とする。
一方で「人口減少、高齢化が進行する県東・県北地域などでは土地需要が大きく減退し、地価の下落が続くなど傾向が多様化している」とした。
商業地では、宇都宮市が3年連続、小山市が2年連続で上昇、野木町が横ばいに転じ、下野市、高根沢町は2年連続で横ばい。
ほかは下落で、下落幅が大きかったのは、茂木町の3・8%、那須烏山市の3・5%など。同課は「再開発事業などの整備が進むJR宇都宮駅、小山駅周辺や路線商業地域を中心に地価の上昇傾向が続いている」とする一方、「各市町の旧来からの商業地は、新たな商業施設への顧客流出、人口減少・高齢化による顧客数・購買力の減退で下落傾向が続いている」としている。(楠城泰介)