町家の移築は可能か
旧伴家住宅だけではない。数ブロック離れた中京区三条町の市指定文化財の京町家「旧川崎家住宅」(新町通三条下ル)も東京の不動産業者に土地ごと売却され、存続が危ぶまれている。
30年3月の所有権移転の後、市には業者から同住宅の移築に関する問い合わせがあり、市は移築先の場所をはじめ、解体や復元などの具体的な方法について市との協議と許可が必要という条件を説明した。
ところが今年1月、業者が一方的に、解体の意向を市に伝えてきた。移築を前提としない文化財の解体は前代未聞であり、市は解体が確認されれば京都府警に告発する方針だ。
市は、業者に対して文化財の保存・継承の責務を果たすことを強く求めるとともに2月1日、門川大作市長名で「(市文化財保護)条例に違反する行為が行われないよう強く警告する」とする文書を送付した。その後、業者との話し合いが続いている。
京町家は山鉾町の景観を形成する上で重要な要素。町家の姿なしに祇園祭はあり得ず、創始1150年の記念すべき年の危機に住民は心を痛めている。
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山鉾町(やまほこちょう)は東は東洞院通、西は油小路通、北は姉小路通、南は松原通に囲まれた地域のうち、山や鉾を持つ町内を指す。中京区と下京区にまたがり現在34カ所ある。