消える町家、祇園祭1150年の歴史に危機

 疫病退散の祈りを込めて869(貞観11)年に始まった祇園祭は八坂神社(京都市東山区)の神事で、山にはご神体が安置される。神聖な山を、上から裸で見下ろされることは、祭りに奉仕する住民らにとって受け入れ難いという。

 説明会でも「祭りを大事にする地域住民の神経を逆なでしている」「祭りに対する姿勢をどう考えているのか」など厳しい意見が相次いだ。

 ホテル運営を担うカンデオホテルズ(東京)は「勉強する」とだけ回答。さらに「Bath(風呂)」「Bed(睡眠)」「Breakfast(朝食)」の3Bをセールスポイントとし、外湯は日本の風呂文化を体験できる設備だとして、他の宿泊施設と差別化する上でも譲れないと主張。計画を見直す考えがないことを明らかにした。

 地元の明倫学区のまちづくり委員長の長谷川明さん(70)は「外湯は京都の文化を伝えるようなしつらえではなく、異質なもの」とし、京町家再生研究会の小島富佐江理事長も「基本は外湯を作らないでほしいということ。ここで東京建物やカンデオが事業をするのは浄妙山が建つからで、京都の文化を利用しているだけ」と手厳しい。

 さらに長谷川さんは「最悪、ユネスコの世界遺産登録の取り消しにつながるのでは」と危惧している。

 京都市は7人の専門家からなる建築審査会を毎月開催しているが、旧伴家住宅については登録文化財である母屋の活用方法が議論の対象になっている。

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