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京都・祇園祭の創始から1150年の記念すべき年にあたる今年、祭りのハイライトとなる山鉾(やまほこ)巡行を担う地区の組織「山鉾町」が揺れている。景観形成に重要な役割を果たす2軒の京町家が相次いで土地ごと売却されたためだ。1軒は解体後にホテルが建設され、もう1軒は移築の危機。ホテルは通りに面した2階に外湯(露天風呂)が設置される計画で、祭りの際は向かい側に山鉾が建つことから「(裸になる)風呂から山(山鉾)を見下ろすなんて論外。祭りは神事だということを理解していない」と地域住民の猛反発を招いている。(田中幸美)
京町家がホテルに
京都市の中心地域、中京区骨屋町(六角通烏丸西入ル南側)に位置する旧伴家(ばんけ)住宅。居住棟と店舗棟が南北につながる明治期に建てられた京町家だ。この一部を解体してホテルを建設する計画が進んでいる。
2階建て母屋が平成3年に京都市の登録有形文化財となったが、29年6月、所有権が大手不動産会社・東京建物(東京)に土地ごと移った。同社などが住民に示した計画では、母屋を保存活用し、残りは取り壊して鉄骨造地上10階建ての106室からなるホテル棟を建設するとしている。
しかし3月に開かれた地元向け説明会では、次々に厳しい反対意見が飛び出した。計画では、ホテル棟の共用部分の2~4階に風呂を設置するという。
この地区は祇園祭で33基ある山鉾の一つ「浄妙山(じょうみょうやま)」が建つ。住民らは、ホテルの外湯が通りに面して設けられる点を問題視した。