リフォーム詐欺疑い 架空出張で愛人とホテル宿泊 社用車名義でベンツ購入 神奈川

 横須賀市内の物件をめぐるリフォーム詐欺への関与疑惑など、元会社役員の男性による詐欺的行為の一端が明らかになった。リフォーム詐欺に加え、2020年東京五輪関連事業への投資を装うなどの手法で計1億円近くをだまし取るなどしていたとみられ、知人と設立して役員を務めていた会社でも「視察」と偽り、出張経費を愛人女性とのホテル代などに流用。被害者は「許せない」と憤っている。(河野光汰)

 ■「学びの場に」

 「アトリエにする。月25万円で借りるから、500万円でリフォームしてくれないか」。被害者の1人で会社経営者の男性に連絡があったのは、平成27年2月のことだった。

 男性は投資目的で横須賀市内の高台にあるアパート1棟を購入。連絡をしてきた人物は「K」と名乗った。元大手住宅メーカーの社員で、当時はデザイン事務所を経営していた。「デザイナー集団」などと自身の会社を称した上で、男性がリフォームを前提に貸し出したアパートを「アトリエのようなデザイナーの学びの場所にしたい」と切り出してきた。

 アパートは経年劣化でリフォームが必要だったため、Kは「ハウスメーカーのようなこともやっている。500万円ぐらいで(リフォーム)できる」と話した。男性は「500万円でリフォームできるものではないのでは」と感じたが、Kと月25万円で最低5年間の賃貸契約を結ぶことにした。リフォーム代として約560万円を前払いしたが、元は取れる計算だった。その後、Kは男性に「一緒に会社をやろう」と持ちかけてきた。Kは面倒見のいい一面があった。27年春ごろに会社を設立。男性が社長に就任し、Kは役員となった。

 ところが、会社設立後も工事は始まらないまま。月25万円で結んだ賃貸契約についても、最初の2カ月は振り込みがあったが、その後は途絶えていた。

 ■無断でカード作成

 徐々に不信感を募らせる男性。そして、Kの常軌を逸した行動が明らかとなる。異変が表面化したのは28年2月、男性個人のクレジットカードが突如として使用停止となったのだ。Kが男性に黙って男性名義のコーポレートカードを作成し、債務額は数百万に上っていたという。

 男性が驚いたのは、その使い道についてもだった。領収書やカード履歴には、明らかに業務と無関係のものばかり。その後、Kが働いていた不正が芋づる式に発覚した。Kは建設現場の視察名目でさまざまな現場に出かけていたが、その大半は虚偽の出張だった。

 実際はK自らが採用し、愛人関係にあった女性社員を伴った旅行のようなもので、宿泊費は会社の経費として精算されていた。社有車としてベンツを購入していたことも判明。女性は架空の視察名目でKと宿泊していたことなどを認めたという。

 Kはカードによる経費の不正使用のほか「業者に支払う金が足りない」などと理由を付けては会社側に金銭を要求していたが、それらが全て虚偽だったことも明らかになっている。加えて、Kは計四十数回にわたって計約3千万円を会社口座から引き出していた。それらの使途不明金がどこに消えたのかは不明だ。

 ■行方くらます

 関係者によると、Kは少なくとも4つの会社の経営に関わり、うち2つで詐欺的行為を働いていたことが確認されている。東京五輪関連のイベントへの出資金をだまし取るなど、Kは少なくとも5人から計1億円近くをだまし取るなどしていたとみられる。

 一部の被害者はKに対して被害金額の一部返金を求める訴訟を起こし、東京地裁は30年1月、Kに約300万円の支払いを命じる判決を言い渡している。一方、Kは横浜市内のタワーマンションに居住していたが、姿をくらましており、支払いを免れ続けている。

 捜査関係者によると、リフォーム詐欺に関しては、県警が告訴状を受理。詐欺容疑を前提に捜査を進めているほか、業務上横領容疑での立件も視野に入れているもようだ。

 詐欺事件に詳しい加藤博太郎弁護士は「同様の被害を受けているケースは多い。(泣き寝入りを許さず)捜査機関が立件することで、警鐘を鳴らす必要がある」と指摘。被害者の男性は「許せない気持ちは変わらない」と話した。

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