当世インド事情

1カ月で270人死亡 密造酒はなぜなくならない

 禁酒法時代の米国を見るまでもなく、酒の流通が規制されると、不正が跋扈(ばっこ)するのは世の常のようだ。密造業者は各地に工場を構え、農村部で職がない若者を雇用しているという。密造業者をたばねる犯罪組織が地元警察と結託しており、摘発が進まないとも指摘される。

■根深い「貧困の継続」

 州政府が酒の販売に厳格な規制を設けるのにも、理由がある。飲酒が原因の強姦や暴行事件が絶えないためだ。

 インドでは女性への犯罪の85%がアルコール依存症に関連しているとのデータもある。政党が、健康や犯罪抑止目的で「飲酒規制」を選挙公約に掲げ、女性からの支持を拡大するケースも多い。

 インド社会に詳しいパンジャブ大のメハク・ジャイン教授(社会学)は産経新聞の取材に「今回、なぜ死亡事例が相次いだのかは不明」としながら、「特に農村部は所得が急落しており、貧困の継続に不満を感じてアルコールに手を出す(人が多い)。そして金がないので死につながることを理解していても、密造酒を買うという構造になっている」と指摘。密造業者の摘発強化と同時に、根本的な解決に向けて「社会全体での貧困対策が必要」だと強調した。

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