経済インサイド

増える外国人雇用、支援システムが登場

【経済インサイド】増える外国人雇用、支援システムが登場
【経済インサイド】増える外国人雇用、支援システムが登場
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 東京都内のITベンチャーが、増える外国人雇用を支援するシステムを開発した。2週間程度かかる事務作業が、わずか1時間で完了できるという画期的なシステムとは-。

 昨年12月の出入国管理法(入管法)改正によって、外国人労働者の受け入れが急拡大すると見込まれている。これを社会課題解決型のビジネスチャンスに結びつけたのが、バイトテロやブラックバイトを撃退し、アルバイトの定着率を高めたシステムで知られるITベンチャー「アルカディア・イーエックス」(東京都渋谷区)だ。

 同社が開発したのは、外国人雇用の事務手続きを迅速化する「入社手続き電子化システム」。同社によれば、こうしたツールは国内初という。

 留学生などを含む国内の外国人労働者数は年々増加し、すでに過去最高の146万人を超えている。外国人を受け入れている事業所数も、21万カ所以上にのぼる。法改正も追い風に、今後はさらに拡大が見込まれるが、数字で示すまでもなく、人手不足の大手居酒屋チェーンやラーメンチェーン、コンビニなどでは外国人店員を見かけることが多いうえ、アジアを中心に多国籍化しているのが特徴だ。

 ところが、外国人雇用の手続きは想像以上に煩雑だ。日本人なら、履歴書や学生証、免許証があれば十分でも、外国人の場合、在留カード、パスポート、上陸許可証、資格外活動許可証など、在留資格や条件、年齢によってさまざまな証明書が必要になる。このため、書類の過不足や間違い、紛失も多く、現場とのやりとりの繰り返しで、総務や人事部門が疲弊してしまう現実がある。

 同社の入社手続き電子化システムは、こうした時間と労力、紙を「撃退」することができる。飲食チェーンなどが外国人を雇用する際に、出先の店舗で直接、パソコンやタブレット端末に在留資格や就労条件を入力すると、100通りもあるといわれる中から、必要な提出書類のリストが表示され、それをもとに手続きが開始できる。Web上で写真や書類の画像処理も簡単にでき、本部にオンラインで送ることができる。

 先行導入した企業では、従来の作業の9割を減らせたという。アルカディア・イーエックスの槇千亜紀副社長は「雇用側の業務の負担が大幅に軽減でき、働き方改革にも貢献できる」と、普及に期待をかける。

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