【モスクワ=小野田雄一】極東地域を管轄するロシア軍の東部軍管区は12日、北方領土の択捉(えとろふ)島と国後(くなしり)島で射撃・砲撃部隊による軍事演習を開始した。インタファクス通信が伝えた。ロシアは北方領土の軍事拠点化を進めており、今回の演習には、北方領土の実効支配を強め、日本などを牽制(けんせい)する狙いがあるとみられる。
軍事演習には約500人の将兵や戦車「T-72」、歩兵戦闘車「BMP-2」などが参加。敵対勢力が島に上陸して構築した防衛線をロシア軍部隊が突破するとの想定で行われた。
ロシアは昨秋以降、北方領土地域での軍事演習やミサイル訓練を相次いで実施。日本政府が抗議してきたが、ロシア側は「自国領での訓練であり、日本には抗議する権利がない」などと主張している。
近年のロシアは北方領土の軍備も増強。ロシアは2016年までに、部隊が駐留する択捉島と国後島に地対艦ミサイル「バスチオン」と「バル」をそれぞれ配備したとの情報がある。
昨年には択捉島に最新鋭戦闘機「スホイ35」を配備したほか、両島に兵舎計4棟を新たに建設している。