衝撃事件の核心

空き巣を生んだ不動産業界の危ない「慣習」

本来、空き部屋の鍵は各マンションの管理会社が保管し、内覧の際は仲介の不動産業者がその鍵を借りて案内する。しかし、1日で複数の部屋を内覧する場合、管理会社を回っていては時間的なロスが生じる。男性は「お客さんを待たせないことを考えた結果、こうした慣習が定着したのではないか」と話す。

捜査関係者によると、西村被告は大学卒業後、不動産業者に就職。約1年半の間、賃貸物件の仲介などに携わっていた。平成29年12月ごろから無職となり、生活費を得るために空き巣に手を染めた。

かつての経験から、空き部屋の鍵が簡単に手に入る物件が多いことを知っていた西村被告。まずは、かつて扱ったことのある物件から、空き巣を重ねていったという。

■対策急務も

さらに、インターネットの物件紹介サイトの空室情報も使って空き部屋がある物件を探し、足を運ぶことを繰り返した。金品が手に入らず、その場で自転車を盗んで次の物件に向かったこともあったという。

鍵の保管には、ダイヤル式の南京錠が使われているケースもあるが、業界を知る西村被告にとっては、それさえ大きな問題ではなかった。

西村被告は府警の調べに「(ダイヤルを)1つだけを動かせば開くことが多い」と供述。つまり、解錠に必要な数桁の数字のうち、1つをのぞいてすでに正しい並びとなっており、1つのダイヤルだけを順に動かしていけば、解錠できることが多いというのだ。

全ての物件がこうした管理になっているわけではないが、あまりにずさんな実態といえる。物件の管理は各業者に委ねられており、一元的な対策が難しいという側面もあるが、空き部屋に誰でも出入りできるような状況が許されるはずはなく、対策が必要だ。

全国の不動産仲介業者やマンション管理会社が加盟する業界団体「全日本不動産協会」の担当者は「こうした事件が続くようなら対策を検討しないといけない」と話している。