社説検証

米朝合意見送り 「最大限の圧力へ復帰を」と産経

朝毎はトランプ流交渉術を批判

トランプ米大統領と北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長との2度目の首脳会談は、予定された共同合意文書の署名に至らず、物別れに終わった。この異例の展開を各紙はどうみたのか。事前の見立てでは、実績を誇示したいトランプ氏が無用の譲歩をすることへの懸念が強く、「合意なし」に安堵(あんど)感もにじんだ。

「浮き彫りになったのは、微笑を前面に『非核化する』と言いながら、実際には核・弾道ミサイル戦力の保有にこだわり続ける北朝鮮の頑(かたく)なな姿勢である」。産経はこう総括した。日経は「非核化の実現への真剣な取り組みは残念ながらうかがえなかった」とし、読売も「北朝鮮が完全な非核化に踏み込まないまま、制裁解除を求める戦術をとっていることが浮き彫りになったと言えよう」と指摘した。

トランプ氏の説明によると、北朝鮮側は寧辺以外の核施設の廃棄に応じず、一方で、経済制裁の全面解除を求めた(北朝鮮側は一部解除だったと反論している)。折り合うことができなかったのだが、合意文書への署名を見送ったトランプ氏の判断そのものについては各紙とも肯定的に捉えている。

「十分な合意ができないと判断して席を立ったのは妥当だ。共同声明の発表や成果の誇示を優先するあまり、北朝鮮に譲歩する事態は避けられた」(産経)、「安易な合意より交渉中断の方が有益なこともある」「トランプ氏が非核化に向けて妥協しなかった点は評価したい」(毎日)、「支持率が低迷するトランプ氏が、形だけの非核化といったまやかしに飛びつかなかったことは、ひと安心である」(日経)-などである。

会談決裂を受け、「3回目の首脳会談が開けるかどうかも含めて米朝関係が当面不安定になった」(毎日)。だが、「北朝鮮は、いまだ日本などを射程に収める弾道ミサイルを多数配備し、核・ミサイルの増産を続けている」(産経)。北朝鮮の脅威を放置することはできない。

産経は「忘れてはならないのは、国連などの経済制裁と強力な米軍の存在という、経済、軍事両面の圧力が、核・ミサイルの挑発を繰り返していた金委員長を交渉の場へ引き出した点である」と説き、トランプ政権はじめ国際社会に「最大限の圧力」の原点に立ち返るよう訴えた。

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