英EU離脱「日本も同じ船に」 駐日アイルランド大使インタビュー

 ポール・カバナ駐日アイルランド大使が6日までに東京都内で産経新聞のインタビューに応じ、英国のEU(欧州連合)離脱によって英領北アイルランドとアイルランドで国境管理が厳しくなる恐れを指摘し「アイルランドの平和と安定にリスクを生じさせている」と懸念を示した。EU離脱が英国に進出する日本企業に影響を与えることにも触れ「安定に脅威が迫るという意味で、アイルランドも日本も同じ船に乗っている」と指摘した。

 北アイルランドでは英国による統治の継続を求める人々と、アイルランドとの併合を望む人々が対立し、1960年代以降の紛争で3千人以上が犠牲になった。98年のベルファスト合意で流血の歴史に終止符が打たれ、検問所や税関のない国境の自由な往来を可能にした。

 カバナ氏は、英国の一部である北アイルランドがEUから離れることで「ハード・ボーダー(厳格な国境管理)」ができれば再び情勢が不安定になると指摘し「EU離脱問題が国境問題を再び、討論の的にしてしまった」と懸念。「離脱を擁護する多くの人はアイルランドに深刻な影響がもたらされることを配慮していなかったのだろう。英国が離脱を決めたのは残念だ」と話した。

 その上で、英国とEUが昨年合意した、アイルランドとの国境で自由往来を維持する方策が見つからない場合に英国が離脱後もEUの一部規則に従い続けるとした「安全策」について「ハードボーダーを防ぐための予防措置だ」と評価。今年1月に安全策を盛り込んだ離脱協定案が英下院で否決されたものの「説得力のある(安全策の)代替案を提起できた人はいない」と話した。

 また、今月末に迫る離脱期限について「英国が期限の延長をEUに求めたら、加盟国のアイルランドとしては英国を助け、『合意なき離脱』を避けたい思いはある」と打ち明けた。

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