わが家の住人は主人と私、そしてルビーとジャスパーという2匹の犬です。2匹ともレスキューセンターから来ました。センターの犬猫は全て去勢されていて、希望者は書類審査と家庭訪問を受け、問題がなければ料金を支払って引き取ることができます。
公園にはリード無しで遊んでいる犬がたくさんいます。私の家の近くには大きな野原があるので、愛犬たちを毎日思いっきり走らせます。ここで出会う犬たちの3分の1くらいはレスキューされた犬です。イギリスは最も動物福祉が整った国の一つとされますが、センターに運ばれる動物は後を絶ちません。以前アンバーという虐待された犬を引き取りましたが、最初は人間を全く信用せずおびえていました。そして半年くらいしてやっと心を開き始めた頃に、突然死んでしまったのです。その時の悲しさ、悔しさは7年たった今も心に大きな穴を残しています。
数多く行われる犬の品評会ではブリーダーたちがご自慢の犬を披露しています。でも飼い主を必要とする犬がこんなに多い中、さらに犬を増やす必要があるのでしょうか? 私たちが犬たちに与える以上のものを犬たちから与えられていることを身をもって感じるとき、疑問はさらに大きくなります。
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■木島タイヴァース由美子さん(67) 英国政府公認観光ガイド(ブルーバッジガイド)。結婚後、25歳で渡英。バッキンガムシャー州のウィンズロウで夫と2匹の犬と暮らす。