「ダークマター」の正体に迫れるか? 宇宙の謎を巡る研究に方向転換の動き

欠落した部分は埋められるか

ファーンズは現在、この欠落した部分を埋めようとしている。ファーンズは18年12月に発表した論文で、ダークマターが奇妙な流体である可能性があるとする説を発表した[日本語版記事]。向こうへ押しやろうとするとこちら側に近づいてくる性質があるような流体だ。

この流体を含む宇宙の単純化したシミュレーションを作成した結果、なぜ宇宙は膨張しているかという、物理学におけるもうひとつの長年の謎もこの説で説明できる可能性があることがわかった。ただしファーンズは、自説が推測であり、過去の望遠鏡による観測やダークマター検出実験と整合性があるかどうかはまだ明らかになっていない、と慎重に指摘している。

新たなアプローチへの熱意が高まっているにもかかわらず、WIMPにもまだダークマターの可能性があるかもしれない。マルヤマによれば、自身が行った韓国の実験により「一般に話題になる標準的な普通のWIMP」は除外されたが、あまり知られていないWIMPの類似粒子はいまだ検討中の段階にあるという。

忘れてはならないのは、物理学者たちがそれぞれ「好みの理論」を持ち出し、それがどれほど目新しくて興味深い理論だったとしても、裏付けとなるデータが不可欠であることだ。

「宇宙は何が美しくエレガントであるかなんて気にしません」と、ファーンズは話す。さらに宇宙は、何が流行りであるかにも興味がない。宇宙は実はクールではないのかもしれないのだ。

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