「ダークマター」の正体に迫れるか? 宇宙の謎を巡る研究に方向転換の動き

アクシオンに賭ける理由

18年4月、ワシントン大学のレスリー・ローゼンバーグ教授らが取り組む共同研究プロジェクト「アクシオン・ダークマター実験(ADMX)」はついに、アクシオン検出のために十分な精度にまで検出器を調整したと発表した。

リブカによると、この検出器は一種のAMラジオのように機能するという。機器の内部を満たした非常に強い磁場が、飛来するアクシオンをマイクロ波に変換し、これを検出器で受信する。

「アクシオンの正確な質量がわからないとすれば、どの周波数にチャンネルを合わせたらいいかわからないわけです」とリブカは説明する。「だから、音を聞きながらチャンネルのつまみをゆっくり回しますが、聞こえるのはほどんどノイズです。それでもいつか、願わくば正しい周波数にチャンネルが合い、単一周波数の純粋な音が聞こえる日が来ればよいのですが」

リブカがアクシオンに賭けているのは、アクシオンが物理学におけるもうひとつ別の長年の謎も解決する可能性があるからだ。それは、クォークがどのように結合して原子核を形成するのかという謎である。

「原子核物理学から生まれたこの仮説粒子が、たまたま適切な量のダークマターを構成するというのは、単なる偶然の一致にしてはあまりに出来すぎた話だと思われます」と、リブカは話す。

否定されたブラックホール説

リブカのチームが、アクシオンの痕跡を求めて地上のデータを厳密に調べる一方で、天体物理学者たちは手がかりを求めて空に目を向けている。18年10月に発表された論文でスマラカレギの研究チームは、ダークマターが主にブラックホールから構成されているという従来説を否定した。スマラカレギのチームは、超新星の観測データ20年分を調べることで、この結論に到達したのだ。

超新星の前方にブラックホールがあると、超新星から発せられる光はブラックホールの重力で曲げられ、明るさが増したように見える。光が明るいほど、ブラックホールの質量が大きいことになるわけだ。スマラカレギのチームは、何百もの超新星の光度を一覧表にまとめることにより、太陽の100分の1以上の大きさのブラックホールで説明できるのはダークマター全体の40パーセント以下であり、それだけにすぎないとの推算結果を得た。

「これまで最善とされていた学説が崩れつつあるような段階に来ています」と語るのは、オックスフォード大学の天体物理学者ジェイミー・ファーンズだ。「何らかの新しいアイデアが必要であるのは明白です。宇宙がどのように機能しているかに関して、見過ごされている重要な何かが存在しています」

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