【日曜経済講座】電力自由化から3年 「安定供給」の課題浮き彫りに 論説委員 井伊重之(3/5ページ) - 産経ニュース

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日曜経済講座

電力自由化から3年 「安定供給」の課題浮き彫りに 論説委員 井伊重之

 しかし、決して手放しでは喜べない。昨年9月に北海道電力の苫東厚真発電所が地震で被災し、稼働停止に追い込まれた。これに伴って北海道全域がブラックアウトに陥り、地域の暮らしや産業を直撃した。北電はその後、液化天然ガス(LNG)発電所の新設で供給力を増強したが、自由化に潜むマイナス面の影響にも注意が必要だ。

 電力自由化は大手電力の地域独占を崩し、新規参入を増やす狙いがある。同時に発電コストを電気料金に上乗せする総括原価も廃止された。競争が激化すれば、大手電力は経営効率を優先して余分な電源を保有しなくなる。稼働率の低い電源があると発電コストが上昇するからだ。老朽火力の廃止も相次いでいる。

 大手電力幹部は「これまでは地域独占と総括原価によって、安心して電源に投資できた。その前提がなくなった以上、従来のような安定供給がいつまで可能かは分からない」と冷めた見方を示す。安い電力ばかりを求める動きが広がれば、その分だけ供給安定性は失われる。