関空再生(下)

訪日客へ情報 改善に全力

 「外国人にパニックが起こらないか」。昨年9月の台風21号で約8千人が閉じ込められた関西国際空港。関空を運営する関西エアポートで顧客対応を指揮した石川浩司執行役員に不安がよぎった。空港側とトラブルになった外国人客の一部が暴れ出した-。自然災害で閉鎖された他空港で、そんな事例があったと聞いたことがあったからだ。

 言葉の壁から「情報過疎」におかれやすい外国人。3カ月前の大阪北部地震では、鉄道の運休などを把握できなかった外国人が主要駅周辺に集まり、群衆化したこともあった。停電し、通信も不通となった空港。自国語で十分な情報を得られない外国人客が、パニックを起こす可能性も少なくなかった。

 関西エアの説明によると、バスを手配した総領事館や、母国語で避難誘導する外国の航空会社もあったことなどで、外国人客に大きな混乱はなかったという。

 一方で、関空内では冠水などの影響で多言語の館内放送が途絶え、職員が拡声器などで空港内を回って情報を伝えることになった。多言語拡声器は2台のみで、情報伝達での課題も残した。

スマホに4言語配信

 「大型の台風が接近中です」「鉄道の運行再開は未定です」。スマートフォンに情報が流れた。対応言語は英語、中国語など4言語。最新の情報がリアルタイムで更新されていく…。近く関西で実証実験が始まる予定の外国人向け情報配信サービスだ。

 使用法は、スマホの専用アプリに国籍や言語などを登録しておくだけ。災害時には登録した言語で情報が自動配信される。

 サービス創設のきっかけは昨年多発した自然災害だ。音頭を取った総務省近畿総合通信局の大橋秀行局長は「訪日外国人が増え、大阪・関西万博も控える。言葉の壁を越えた安全・安心は喫緊の課題」と話す。将来は対応言語を10言語程度まで増やす方針だ。

 実証実験に参加する和歌山県高野町。高野山目当てで訪日外国人客が増加中だが、昨年の台風では道路の寸断で陸の孤島に。「役場から英語で放送したが、全ての人に伝わったとは思えない。災害時は明確な情報発信が不可欠」。同町で訪日外国人客を支援する米国人のパトリック・オニールさんは新サービスに期待を寄せる。

会員限定記事会員サービス詳細